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ゲーム制作講座column

作り始める前に知っておきたい事 〜ぷれいんぐ まにゅある〜

「ねぇ、ハムちゃん! 私、無事に帰れたらゲーム作ろうと思うの!」
「なんでいきなり死亡フラグ立ててんだお前。だいたいお前、どんだけフラグ立てても死なないだろ」
「野暮なツッコミは無しよ、ハムちゃん。私、今ラスボス倒して夜明けを迎えた勇者パーティーのようにやる気に満ちてるの!」
「完全に一仕事終えた後のような気もするが……まぁ、やる気があるのはいいことだ。で、さっそく何から始める気だ?」
「もちろん決まってるわ! テーマづくりよ!」
「テーマか。俺は最初にテーマなんて大げさな事決めたことは無いな〜。まぁ、頑張れよ」
「え? ……ちょっ、ハムちゃん!? なんか聞き捨てならない事を聞いた気が〜!」

初めに考えるのはテーマ! ……ではなくて、「どんなゲームにしたいのか」

 ゲームを作る時、最初に何をするべきか、と言う事は誰しもが頭を悩ませることです。とりあえずマップを作ったりアイテムの名前を考えたりするのも一つの手ですが、やはり「ゲーム」という一つの作品を作るのに、最低限考えておいた方がいい事はあります。
 それは「どんなゲームにしたいのか」。難しい言い方をすれば「テーマ」と言う事になりますが、実は「テーマ」というほど明確な物は初めから作る必要はないと思います。「テーマ」とは、対外的に企画書や紹介文を作る時には必要になりますが、パソコンやノートを前にしてゲームを作り始める時には必ずしも必要ないと思います。

「具体的に言うと、どんな感じ?」
「たとえば、『-新説-UPRISING』のテーマは? って聞かれたら、俺は『被差別種族の少女が帝政国家で民主化革命を起こすSRPG』って答える。だが、初めからそう考えていたかと聞かれると答えは否だ。最初は『ハーフエルフの女の子が大勢仲間を引き連れて戦うSRPGでも作るか』だった」
「なんていうか、素朴と言うか単純と言うか」
「そうだろう。俺が言いたいのは、初めから大仰で難しいテーマを掲げる必要はない、ってことだ。こんなゲームが作りたい、こんなお話が作りたい、でいいと思う。むしろ、素直にそう出てきた物の方がゲームのコアとして合っていると思う」
「RPGにしたいとかSLGにしたいとかは?」
「流れで決めてもいいし、初めから決めてもいい。UPRISINGの場合は、『大勢で戦う』がコンセプトだったからSRPGにした。Pray for Youは特に無かったからRPGにしたし、To Realize! はSRPGコンバータを使いたかったから初めからSRPGだった」
「う〜ん、難しそうね」
「そうでもないさ。これを読んでいる人は『自分でゲームを作ろう』と思った人だろう? なら、『○○なゲームを作りたい』という気持ちはあるはずだ。それを、まずは素直に一文で書いてみるといい。後は、そこから派生してどういう形のゲームにすればいいのか考えていく。例えば、RPGやSLGといったジャンル、プレイヤーが喋るのか否か、ソロで旅するのか仲間がいるのか……キャラクターを考えたりアイテムを考えたりするのはその後だな」
「自分の作りたいゲームに合わせるってことね」
「そう。で、実際に作ってる間にどんどん変えちゃったっていいんだ」

最初はみんな初心者

「そうは言っても、なかなかうまく作れないね」
最初はみんな初心者だ。俺もそうだった」
「どうすれば上手くなれる?」
「試行錯誤するしかないな。こればっかりはノウハウじゃない。何度も作って、失敗して、時にはボロくそに叩かれて、そうやって上手くなっていくもんだ」
「ハムちゃんもそうだった?」
「そうだよ。昔は(今もだけど)結構ぼろくそ言われた。俺に直接言ってくる人はあまり多くなくて、大抵他のサイトの感想板で、だけど」
「ボロくそに言われて、イヤにならない?」
「そういうのも大切な意見だからな。そこから良くない点や問題点が見つかる事も少なくないし、けっこう参考になってる部分も多い。まぁ、あんまりひどい誹謗中傷だと、おいおい何の恨みがあってそこまで言うんだ(笑)って思うけど」

 どうすれば面白いゲームが作れるか? これは、実際に作る以外に上達の道はありません。絵を描くのも音楽を作るのも、あるいは勉強やスポーツが出来るようになるのも、結局は努力するしかありません。
 とはいえ、間違った努力をしていると労力に見合った成長が得られないのも事実です。その点についてはこの講座でやっていきたいと思いますが、あえてここで挙げるとすれば『実際に完成させて世に出す』と『人の意見に耳を傾ける』が大事でしょうか。時に、ゲームを出しても何の反応も無い場合もありますが(私もあります)、それはそれできちんと理由があります(他作品のスピンオフでそもそも遊んでくれる人が少ない、SSや紹介文が魅力的でない、感想を書けるほど充実した内容で無かった……などなど)。
 実際に作ったゲームを人に遊んでもらい、そのフィードバックを得ながら1ステップずつ、試行錯誤して進んでいく事が結局自らの血肉になります
 ……と、こう書いてしまうと身も蓋もないので(笑)ノウハウや技術も学んでいきましょう。そうすれば、より早く上達する事が出来るはずです。

地道に、諦めず頑張れってことね」
「そういうこと。俺も最初から多くの人に見てもらえたわけじゃない。コンテスト落選も経験したし、HPを開設してもしばらく1日に10人ぐらいしか人が来なかった時期もあった。誰しも、そういう経験から始めるんだよ。失敗から学びながら成長するんだ」

最初の作品は短編の方がいい

「さて、フィリス。どんなゲームを作りたいか考えたか?」
「うん、考えたよ! とある村に住んでる正義感の強い男の子が、悪の帝国の侵略に憤って仲間と一緒に神聖王国をめざすの! 実はその子は聖騎士の息子で、仲間はエルフと神官と魔導士とドワーフ、それに盗賊なんだから!」
「露骨にどっかで聞いた話だが……まさかエルフの名前はディー……まぁいいや。よくないけど。でも、それってずいぶん長い話になるんじゃないか?」
「そうよ。最後は、島全体を巻き込む戦争の末、邪神の復活を止めるために戦う事になるの!」
「その島の名前はロー……って、また露骨に最終巻までだな。お前、初めて作るのにいきなりそんな長編に挑む気か?」
「え? ダメ?」
「ダメとは言わんが、大変だぞ
「でも、ハムちゃんも初作品は長編だったじゃない。UPRISING無印」
「あれで苦労した経験があるから言ってるんだって。正直、無謀だったと今でも思う。よく完成したもんだ。……だけど、完成はしたけど決して完成度は高くなかったと思ってる。楽しんでくれた人には悪いけど」
「ふ〜ん……やっぱり、いきなり長編は難しい?」
「難しいと思うよ。特に、ゲームは一発勝負だからな。たとえば、マンガや小説なら一話(一巻)書いてみて、行けそうならそのまま続編を出して長編に……って手が使えるけど、ゲームだと難しいと思う」
「う〜ん、でもやっぱり、世の中長編ゲームの方が有名になるよね?」
「そうだな。それは事実だし、ゲームを作るからには長編が作りたくなる気持ちもよく分かる。だが、だからと言っていきなり長編に挑む必要はあるまい。見てもらえる作品は、短編でもちゃんと見てもらえる。俺も、実際に多くの人に見てもらえるようになったのは短編の『Pray for You』(プレイ時間2〜3時間)からだったと思ってる」
「そうは言ってもな〜、短編だと面白いゲームにならないんじゃないか、って不安になる」
「そうとは限らないさ。だいたいフィリス、お前の代表作(『Pray for You』)は短編だぞ。……と言いつつ、まぁ、不安は理解できる。だから、短編でも面白いと言ってもらえるゲームを作れるよう、この講座を通じてノウハウを教えていこう。初めは短編から始めるのが俺はお勧めだ。集中して作れば1〜2ヶ月で作る事も不可能じゃないし(『Pray for You』はそれぐらいだった)。もし短すぎて逆に作れないと言うなら、ちょっと伸ばして中編(〜10時間)でもいい。それに、完成した作品を出す事はメリットも多い。簡単に説明しようか」

 完成した作品のメリットは少なくありません。簡単に上げてみましょう。
1.ゲーム制作の流れが分かる
 よくゲームを作るのは大変、と聞きますが、どれぐらい大変かご存知でしょうか? 一度でも完成まで作ると、これが実感として分かります。作品を作り始め、中盤の中だるみを超え、クライマックスを悶絶しながら作り、広げた風呂敷をたたんでエンディングに着陸させる……この各段階の大変さを実感するのは、それだけで得る物があります。また、実はゲームは完成してからも大変です。テストもありますし、マニュアル作りや紹介文作りもあります。実際にどこで公開するかも決めねばなりませんし、紹介を兼ねてHPを作るならそれも用意する必要があります。そして公開後はアフターケアや宣伝も必要です。
 ゲームを完成させると、これがどれぐらいの作業になるか肌で体感できます。

2.フィードバックを得られる
 遊んだ人からのフィードバックがあるのは、何よりの励みです。掲示板やメールで連絡が来ずとも、大手のDLサイトで公開すれば毎月のDL数は教えてくれます。HP上で公開している場合でも、アクセス解析など使えばDL数は分かります。これは制作の励みになりますし、次回作への参考となる意見をもらえる事もあります

3.自分の足りなかった所が分かる
 実際に作って完成させていますから、苦労した部分、妥協を強いられた部分、どうしても不満が残った部分は必ずあったはずです。それは次回作に生かせる貴重な経験となります。たとえば、『広げた風呂敷をいかにたたみ、狙ったエンディングにちゃんと着陸させるか』という最後の醍醐味は、実際に完成させる以外に経験する方法はありません(まぁ、死の行軍になっていることも多いですが、それも経験です)。

4.山のように経験値を稼げる
 ゲームを一本作る間に、最初と最後で見違えるほどスキルアップする人は少なくありません。イラストだと分かりやすいですが、最初の絵と最後の絵がまるきり違うということはよくあることです。これはシナリオやシステム作りにも当てはまります。「完成させる」と言うことは、作るのが億劫な物、大変な物、気が乗らない物、などなどとにかく「作らなければいけない」圧力と戦う事になります(これが挫折する一因でもあります)。完成させるとなれば、その戦いはまさにボス戦。勝利の暁には経験値がたくさん手に入ります。

5.その他
 ・一本でも完成品があると、変な表現ですが作者としての信用度が違ってきます。
 ・その作品を面白いと思ってくれた人が、次回作も遊んでくれる事があります。
 ・場合によってはネタの使い回しが出来ます。
 ・自信がつきます。
 ・人に自慢できます(『俺、昔ゲーム作ろうとしたけど完成しなかったんだよね』って言うのと、『短いけど、ゲーム作って公開した事あるんだよ』って言うのどっちがカッコイイか)。

「短編出した後で長編に挑戦してもいいんだし、とりあえず一本、ちゃんと作ったの出してみたら?」
「う〜ん、わかった。じゃあ、考え直してみるよ。せっかく考えたのに……」
「別に、全部捨てる事は無いさ。使えると思った部分は、使っちゃうといい」
「じゃあ、ヒロインの名前はディード……」
「それはやめれ」

やってはいけないこと

「ねぇ、ハムちゃん、ゲームを作る時、作っちゃいけない物ってある?」
「いくつかあるな。確かに、作る前に知っておいて欲しいことだ」

ゲームを作る上で、「これはやってはいけない」ということが幾つかあります。
1)個人情報漏えい
 作中に実名を出したり、住所・電話番号を出したりすることは絶対にしてはいけません。これは自分の情報もそうですし、他人の情報もそうです。場合によっては警察沙汰になります。厳密には氏名、住所、電話番号など個人を特定しうる情報を二つ以上公開すると(名前と住所など)個人情報の漏えいを行なったとみなされますが、たとえ一つであっても公開してはいけません。

2)内輪ネタ
 自分たちにしか分からないネタや話は避けたほうが良いでしょう。内輪で配布し、内輪だけで遊ぶならやっても構いませんが、ネット等を通じて広く一般に公開する作品なら作ってはいけません。作ってもその面白さがほかの人には分かりません。

3)残虐な表現、公序良俗に反する表現
 これは線引きが難しいケースもありますが……成人向けの表現をしている場合、その旨を明記して公開するのが鉄則です。また、殺人を肯定する・主人公が万引きをしてそれを自慢するなど犯罪を助長する内容、死体や事故現場の写真を用いるなど過度に残虐な表現、動物や弱者の虐待を肯定する内容、人種・宗教・性別等による差別を肯定する内容等は行なってはいけません。
 プロの作家さんの中には、死体や流血をはっきりと描き、それをもって自分の作品の主張・表現とする方もいます。それは私も否定しません……が、それは真剣に考え、真剣に表現しようと取り組んだ結果できるものです(それでも批判は来るようです)。安易に真似をするのは避けるべきでしょう。

4)著作権侵害、盗作
 昨今は二次創作が一般的になって、著作権に関する問題も複雑になりました。が、原則著作権侵害・盗作はしてはいけません。二次創作として公開するつもりなら、はっきり分かるようにやり、著作権者から撤去依頼が来たら速やかに従うのが良いでしょう。
 二次創作は黙許と言って、著作権者(著作権を有している人)が気づいていないか、気づいていても黙認している場合にのみ成立します。そのため、著作権者が二次創作の作品を撤去してくれと連絡してきたら従わねばなりません。また、著作権は著作物を制作した時点で発生しますので、有償・無償問わず作品には全て著作権が存在するのが原則です(著作権フリーの場合、必ず明記してあります)。
 では、どの程度から著作権侵害かというと難しい問題です。同じ名前・同じ容姿のキャラクターなど高度な類似性が認められる場合は著作権侵害になる可能性があります。もちろん、単なるコピーや文章の丸写しなど機械的に複製した物は著作権侵害です。文章を複製して固有名詞の部分だけ変える、といったことも機械的複製とみなされます。
 ちなみに盗作は他人の作品を自分の作品と偽って公開することです。これは著作権侵害より重い罪で、刑事罰の対象となることも少なくありません。
 可能ならば別の回で著作権については詳しくやりたいと思います。

 倫理的な問題に関しては個々人の倫理観に委ねるしかないのが実情です。しかし、せっかく楽しんでゲームを作り、他の人に楽しんでもらおうというのですから、それが出来なくなるような事はやらないほうがよいでしょう。


今日のまとめ

1)まずは「どんなゲームにしたいか」から考える。
2)最初はみんな初心者。諦めずに頑張る。
3)最初は短編がおすすめ。
4)ゲームを完成させ、公開する事には多くのメリットがある。
5)ゲームを作るとき、やってはいけない事がある。



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