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ゲーム制作講座column

英語学習とゲーム制作 〜二つの意外な共通点〜

「うほほ〜い! フィリス、見て見て〜!」
「どうしたの、ハムちゃん? ずいぶんご機嫌じゃない」
「苦労の末にTOEICで805点を取ったのだ! ほら、見ろ! この輝けるスコアカードを!」
「あら、そう。私、990点持ってるけど、それがどうかしたの?」
「…………いや、すんません、なんでもないで――あれ? TOEICって非ネイティブが受ける試験じゃなかったか?」
「そうだけど?」
「そうだけど? ……じゃない! お前ネイティブだろ! 元アメリ」

ぐしゃああああああ!

「るはあああああ!?」
「うふふ、こんな所で楽屋ネタやっちゃダメよ、ハムちゃん?」

英語学習とゲーム制作の意外な共通点?

 今回は、ちょっとテクニック的な話から離れて、私が感じた英語学習とゲーム制作の共通点についてお話しましょう。とは言っても、英語の知識がゲーム制作に役立つと言うわけではありません(まぁ、技の名前を考えたりするのには使えるかもしれませんが)。
 今回お話するのは、ずばり「成長」。英語の勉強の時、スコアの上がり方とゲーム制作スキルの向上には共通点がある、と感じたのです。

「下に、俺が実際に受験したTOEICの成績を載せよう(ちょっと恥ずかしいけど)。あ、別に自慢するために載せるんじゃないからな?」
「自慢するほどの成績じゃないと思う」
「……キビしい突っ込みをありがとう。とにかく、見てくれ。分かりやすいようにグラフにしてみた」


「注目して欲しいのは、最初と最後……つまり、2011年7月〜9月にかけてと、2012年1月〜3月にかけてだ」
「ここで、大きく点数が伸びてるね」
「そう。だが実は、同じ点数の上昇という現象でも、内容は違う」
「内容? 勉強の仕方を変えたって事?」
「いや、ちょっと違う。勉強した内容そのものが変わっている。質的にね」
「んん? どういうこと?」

『地道な勉強』と『テクニック』

 私の場合、英語の勉強は基本的に「音読」と「単語学習」でした。その二つについては後ほど英語学習に興味のある方向けに記しますが、この二つの共通点は『地道』な勉強である、ということです。
 たとえば、音読については私は「毎日音読」と銘打ってツイッターで音読した内容の報告を(基本的に)毎日していました。この音読によってリスニング力が強化されたと感じていますが、これは毎日少しずつ、とにかく地道に訓練するものでした。
 単語学習も同様です。誰しも一度は『単語帳』なる物を使って英単語の暗記をした事があるかと思いますが、ぶっちゃけ、アレです(笑 これも皆さん、経験がある通り、一日二日でどうにかなるものではなく、数週間、数カ月かけて地道にやっていくものです。

 私のスコアの上がり方を見ると、2011年11月から翌1月にかけても小規模な上昇が見られます(最後の上昇の一個手前)。最初の上がりとこの上がり、この二つが『地道』な勉強の成果だと私は考えています
 つまり、前者は『音読』によるリスニング力の強化によるスコアアップ(実際、スコアカードを見るとリスニングの部分の点数が増加しているのが分かります)。後者は『単語学習』によるリーディング部分の点数の増加によるスコアアップです(実際、単語学習がちゃんと完成したのはこの直前あたりです。単語を覚えていると、長文も読めるようになりました)。

*念のために記しておきますと、TOEICとはリスニング(CDを聞いて回答するもの)495点とリーディング(文章を読んで解答するもの)495点の二つのパートから成るテストです。

「まとめると、最初の方の点数の伸びは『地道な勉強』によって得られた、ってわけね」
「そうだ。音読の方はすぐに効果が出たが、単語学習の方は効果が出るまで時間がかかった。音読も、たぶんもう一段上のレベルに達するにはまだしばらく時間がかかるのだろう。とにかく知ってもらいたいのは、『地道な勉強』がスコアアップにつながった、ということだ」
「なんか、どっかの教材の謳い文句みたいね。でも、じゃあ、最後のスコアアップは?」
「それが、もうひとつの勉強法『テクニック』学習だ」

 本屋に行ってTOEIC関連書籍を見たことのある方ならご存知かと思いますが、世には『TOEICテクニック本』なる物が多く存在しています。これは、いうなれば『TOEICで点数を上げるにはどうすればいいか?』という事を追求した本で、TOEICの出題傾向や解答の技術等を記した物です。
 実は最後のスコアアップは、このテクニック本の技術を習得した事によるものなのです。

「正直に言うと、それまで俺はテクニック本には懐疑的だった。効果があるの? って思ってたし、テクニックを身につけても本当の英語力はつかないぜ! とか玄人ぶった事言ってた。……しかし、それは間違いだった」
「役に立ったと?」
「実際、かなり役に立ったと思う。どれぐらい役に立ったかは、スコアが証明している。……ただ、やはり英語の勉強にはならないと思う。あくまでTOEICの点数を上げるためのテクニックが身についた感じ。とはいえ、進学や昇進、就職活動etc. のために点数が必要という人にとっては、十分以上に役に立つと思う」
「じゃあ、テクニック本だけでもいいんじゃない?」
「違うんだって。それが今回言いたい事なのさ」

 テクニック本は、確かにTOEICで高得点を取るための技術を学ばせてくれます。考えてみれば、私などよりはるかに英語が出来る人、長年TOEICを研究してきた人が書いているわけですから、参考になることは間違いないわけです。
 では、始めからテクニック本がよいか? と言われると、私は違うと思います。音読や単語学習といった地道な勉強の上にテクニック本を重ねたからこそ大きく点数が伸び、最終的に805点という自分でも思っていなかった以上の点数(680点が目標だった)が取れたと思うのです。

『地道な勉強』+『テクニック』……この二つを組み合わせるのが肝心ってわけだね」
「そう。……で、今日のテーマ。英語学習とゲーム制作の共通点。もう言わなくても分かると思う。ゲーム制作も『地道な勉強(訓練)』と『テクニック』の2本柱が重要なのだ」

ゲーム制作における『地道な勉強』と『テクニック』

「ゲーム制作だから勉強というとちょっと語弊があるかもしれない。訓練と言ってもいい」
「それは、実際に作ってみる、とか、そういうこと?」
「もちろん、それも含める。だけでなく、ちょっとマップを作ってみるとか、シナリオを作ってみるとか、簡単なことでもいい。習作と割り切って、人に見せないつもりで何か作ってみてもいいと思う。人に見せなければ、他の人の作品を真似てもいい(でも人に見せちゃダメよ)。とにかく『地道』に作ることだ」

 ゲームのスキルは一朝一夕では身に付きません。作りこんだマップを作ろうと思えば、幾つもマップを作り、マップチップの使い方、広さのバランス、どこに宝箱を配置するか、など、色々と試行錯誤しながらより良い物を作ることになります。
 シナリオの書き方、セリフ、キャラクターの設定、アイテムやスキルの設定、敵の設定、ゲームバランス、謎解き、世界設定……無数にある「作るもの」を一つ一つ、失敗を重ねながら地道に作ってみる。これがとても大事なことだと思います。
 このようなテクニック講座を書いておいて、こう書くのも気が引けるのですが……いくらテクニックを学んでも、地道な積み重ね(ゲーム風に言うと経験値稼ぎ)が無いと、結局よい物は作れないと思います。私も初めからテクニック本に頼ってTOEICを受けていたら、おそらくこの点数には到達しなかったでしょう。

 では、ゲーム制作の『テクニック』とは? それは、この講座のようなものです(笑
 冗談はさておき、現実的には書籍でしょう。たとえばゲーム制作に焦点を当てた本もありますし、小説の書き方、脚本の書き方、イラストの描き方など特定の分野に特化したテクニック本も多く存在します。有償のゲーム制作講座などもあるようです。他の人の作品を自分なりに研究してみても、多くの事を学ぶことが出来ます。
 地道な勉強は大事ですが、それだけではやはり到達できない(あるいは、到達できるとしても大きな時間と労力がかかる)領域は存在すると思います。これは才能の云々ではなく、たとえば三角関数を知らないと物理の問題が解けない、というような『知らないとそもそも出来ない』ような領域です。私たちの周りには先人の偉業が多く存在するわけですし、そこから学ぶことは必ず大きな力になるでしょう(この講座も、少しでも役に立てばと思って書いてます)。
 特に独学での地道な訓練では限界を感じ始めた時こそ、積極的にテクニックを学んだり、他の人の作品を研究してみるとよいと思います。

「最後にみんなに分かってもらいたいのは、『地道な訓練』に『テクニック』が合わさって初めて、相乗効果によって良い物が作れるようになる、ということだ。どちらが欠けてもダメ。車の両輪なんだな」
「なるほどー……確かに、英語の勉強とゲーム制作、つながる所があるね。なんだか、他の事にも当てはまりそう。私も探してみよーっと」

英語勉強法(興味のある方だけどうぞ)

 最後に、興味のある方向けに私が実践した英語の勉強法について、簡単にご紹介したいと思います。TOEICでスコアが伸びる事はとりあえず証明済みなので(笑)TOEIC受験を考えている方はひとつ参考にしてみてください。
 ……ちなみに、私は英語、とっても苦手です。中学生の頃クラスでぶっちぎりのビリを取って以来トラウマです(笑 なので、英語が苦手な人にも使えるんじゃないかなーと思っています。

・音読
 リスニング対策の勉強は基本的にこれです。私は『英会話・ぜったい音読』(編:國弘正雄 トレーニング指導:千田潤一 講談社インターナショナル)という本を愛用しています。分量も手ごろですし使いやすく、値段も1200円と手ごろなので物は試しで買ってみるのもよいかと思います。
 何故音読なのか? 『英会話・ぜったい音読』からの受け売りになりますが(笑)、人間の脳には言語野(言葉に関する中枢)が2つ存在します。一つは側頭葉にある感覚性言語野(ヴェルニッケ中枢)でこちらは耳で聞いたり読んだりした「言語の入力」に関する中枢です。もうひとつは前頭葉にある運動性言語野(ブローカ中枢)でこちらは発話や筆記など「言葉の出力」に関する中枢です。
 リスニングのために多くの英文を聞くのは確かに効果的なのですが、聞くだけですと「入力」だけ……つまりヴェルニッケだけを使い、ブローカを使わない事になってしまいます。
 さらに(これは『英会話・ぜったい音読』の話でなく、他で聞いた話ですが)、日本人は英語を母国語としていません(当り前ですが)。実は人間の脳は『言語』と『普通の音・雑音』とを聞き分けて、別の処理系統で認識しているそうです(それこそ、言語野が働く、など。右脳なども働くそうですが)。よく、雑音の中で人の話し声だけはっきり聞こえると言う事がありますが、これはそのためでしょう。で、何が言いたいかと言いますと、『言語』とは『母国語』のことなのです。では、日本人が母国語でない『英語』をなんとなく聞いているとどうなるか……驚くなかれ、『言語』ではなく『雑音』として処理されてしまうそうです。そうするとやはり能率は落ちるわけですね(脳だけに)。
 では、どうするか。というと『音読』という事になるわけです。音読するにはヴェルニッケ・ブローカ両方の中枢を働かせますから、雑音として処理されず、さらに脳の多くの部分を使うため学習効果も上がります。実際、私の経験では、音読が出来るようになると自然と聞きとる事が出来るようになります。『地道な訓練』として、オススメです。毎日やりましょうね?(自戒も含めて)

・単語学習
 これはあまり言う事が無い……(笑 長文読解など他の勉強の中で単語数を増やしていければそれが一番なのでしょうが、私のように根本的に単語力の無い人間(笑)は、つまらなかろうが退屈だろうがとにかく覚えまくる以外に手がありません。というか、単語数(語彙)が足りないと、そもそも英文が読めません(経験的に、一行で2,3個知らない単語が出てくるとまず意味が理解できません)。英語が読めない! 分からない! という人は単語不足の可能性大なので、単語帳を買ってきて覚えましょう。地道な訓練です。
 ちなみに、使う英単語帳は何でもいいと思います。用途に合わせて選ぶのがいいと思います。

・文法など
 実はほとんどやってない……2冊ほど紹介しておきます。一つは『基本マスターBASIC英文法』(著:大森善郎 語研)で、これは薄手の割には網羅されていて使いやすかったです。人に勧められて買いました。もうひとつは『はじめて受ける 新TOEICテストパーフェクト攻略』(共著:松野守峰、根岸進 桐原書店)です。いわゆるTOEIC入門本で、基本単語や文法など載っています。リスニング含め他のパートや試験概要についても載っているため、初めて受ける人は買ってみると良いかもしれません。

・テクニック
 上に挙げた物は『地道な訓練』、こちらは純粋な『テクニック』本です。私が使ったのは『新TOEICテスト直前の技術(テクニック)』(共著:ロバート・ヒルキ、ポール・ワーデン、ヒロ前田 アルク)です。これはぶっちぎりでオススメ。最後の130点スコアアップはこの本のおかげです(ホントに)。11日間で攻略する内容ですが、面白くてついつい2,3日で片づけてしまった恐るべき本。直前にはこれを5回ほど繰り返しました。
 解答のテクニックとタイムマネジメントに焦点を当てた本で、正答率も上げられるし時間内に完答出来るようになるしと、目に見えて効果が出ます。……が、英語の勉強そのものにはならないので、『地道な訓練』を怠らないようにするのが肝心です。人によると思いますが、ある程度きちんと『地道な訓練』をしてから使った方がいいかも?

「正直言って、俺が勉強したのってこれぐらい。それで約半年で300点、点数が上がった事になる」
「最近は、会社の昇進にTOEICのスコアを課している所もあるっていうし、勉強しとくといいかもね」
「まぁ、実際に英語が使えるかどうかとTOEICの点数が本当に相関するかは議論の余地があると思うが、例えば試験の足切りで○○点以上必要、とか、昇進のために○○点必要、とか(某社は730点以上だとか)、あと就職活動の時にアピールするのには使えるだろう。一種の資格だから、持っておいた方が無難かもしれん。自分の力を証明する客観的材料としてね。もちろん、英語出来るとカッコいい! とか、これからは自己啓発の時代だぜ! とか、素朴(?)な希望からでもいいと思う。やっぱ嬉しいよ、いい点取れると」
「ま、私はペラペラだけどね!」
「お前は母国語――ぷぎゃあああああっ!?


今日のまとめ

1)英語学習とゲーム制作スキルの向上には共通点がある。
2)これらは『地道な訓練』と『テクニック』の二本柱が重要である。片方ではダメ。
3)ゲーム制作は『とにかく作ってみる地道な訓練』と『先人の偉業に学ぶテクニック』。
4)英語学習は『音読』『単語学習』『テクニック本』を筆者は使った



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