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ゲーム制作講座column

町の人の作り方 〜気になるあの子に声をかけたら、返る言葉は『こんにちは』〜

「ねぇねぇ、ハムちゃん! 教えて欲しい事があるの!」
「こんにちは」
「私、今、町を作ってるんだけどね。上手く町の人が作れないのよ」
「こんにちは」
「国で一番栄えてる王都って設定なのに、このままじゃ人のいないゴースト王都になっちゃうよ!」
「こんにちは」
「ハムちゃん?」
「こんにちは」
「どうかしたの?」
「こんにちは」
「…………」
「こんにちは」
「なめんな、ゴルァ!!」

ぐしゃああああああ!

「こんっ、ぶはああああああっ!?」

町の人の作り方;町の人の役割とは?

「いててて……人がせっかく、身をもって良くない例を示してやったと言うのに……」
「何言っても『こんにちは』しか言わないじゃない。ふざけてんの?」
「槍構えながら言うな、怖いから! じゃなくて、実際慣れないうちは作るだろ。『こんにちは』とか『いい天気だな〜』とかしか言わない町の人」
「う゛っ……」
「……作ったのか」
「い、いや、やっぱりほら、根本的に人がいないよりはマシかなって! 他にもちゃんとした人、作ってるんだから!」
「ほう、たとえば?」
「え? ……『武器はきちんと装備するんだぞ』とか〜、『北の橋は工事中だぞ』とか!」
「それまた、よくやるパターンだな……喝っ!」
「うわーん!」
「そもそもお前、町の人の役割が分かってないんじゃないか? 町の人って何のために存在してると思う?」
「そんな意味深で哲学的で形而上学的な質問には答えられないわ」
「そんな質問しとらんわ! いいか、町の人は“端役”として存在しているのだ」

 町の人を作るのは、多くの人が頭を悩ませる問題のようです。今回は、町の人を上手に大量生産するノウハウをお伝えしましょう。町の人が山ほど登場するゲームと言えば『-新説-UPRISING』ですが、『To Realize!』も割と多めに登場させています。まずは、町の人の役割について整理しましょう。

「物語に登場するキャラクターには、それぞれ役割がある。その中で、もっとも大きな分け方は主役・準主役・脇役・端役(はやく)という区分だ」

 主役:物語の中心。視点となる人物。ゲームでは主人公=プレイヤーの分身を指す。
 準主役:ヒロインや仲間、敵の大ボス等、物語の主要部分に関わる。他のメディアでは設定しないで主役・脇役に含める事もあるが、ゲームではプレイヤーが操作する主役と対比するために設定する。
 脇役:準主役より下だが、お話に関わる人物。あるエピソードにのみ関与するケースが多い。主人公に依頼をする町長など。名前がある場合も多い。
 端役:脇役よりさらに下。台詞が無く、背景に近い扱いの場合も。TVドラマなどで、町を歩いている人がこれ。名前や細かい設定は作らないことが大半。

町の人は端役にあたる。ただ、念のために言っておきたいのは、あくまでコレは作品内での役回りであって、別に端役だから適当でもいいというわけじゃない。神は細部に宿るとは有名な言葉だ」
「了解。で、町の人は端役なわけね?」
「そうだ。端役には端役としての重要な役割がある。さっき、お前は“ゴースト王都”と言っていたな? 端役……つまり町の人がいなければ、本当にただ家や道があるだけの町になってしまう。そうすると、プレイヤーさんにどう思われると思う?」
「うーん……人のいない町なんだなぁ、って思われる?」
「甘いな。手抜きって思われて終わりだ」
「う゛っ……」
「まぁ、俺も人のいない町を作る事はある。が、それはあくまで意図して人がいないように作った場合だ。町の人は、町に絶対必要な存在なんだ」
「とは言っても、上手く作れないよ。よくて、何人か……『こんにちは』とか『ここは○○の町です』って言う人ぐらいかな……くすん」
「そう落ち込むな。コツをつかめばちゃんと作れる。お前が陥ってるのは、『町の人は情報を提供しなければいけない』という思い込みだろう」
「……? 違うの? 『こんにちは』って言うだけじゃダメだとしたら、なにか情報を提供しなきゃ、セリフを作れなくない?」
「違うって。「情報を提供しなきゃ!」って思うから作れないのさ。俺なんて、難しい事を考えないでノリと勢いで町の人を作ってるぞ」
「えぇ? どういうこと?」
「そいつを教えてやろう」

 おそらく、一番やってしまうのは、町の人にとにかく情報提供をさせようとする事ではないでしょうか? ゲームのチュートリアル、どこそこで工事をしている、誰それは病気で寝込んでいる、などなど……こういう町の人も必要ですが、こういう情報提供を出来るキャラクターの数はたかが知れています。すると、町の人を作れず、広い町の中を数人歩いているだけ……と言う事になりかねません。
 先ほど書いた事を覚えているでしょうか? 町の人は“端役”……つまり、町やその場の雰囲気を伝えるために存在しているのです。

「たとえを挙げよう。木造の家が並んでいる。通りは舗装されておらず土のまま、遠くには富士山がかすんで見える……さぁ、ここはどこだ?」
「うーんと、日本」
「じゃあ、そこに江戸時代の恰好した人が歩いてたら?」
「……江戸時代の日本?」
「そう。じゃあ背景そのままで、今どきのカジュアルな格好した若者とかカップルが歩いてたら?」
「えー、江戸時代の背景のままじゃ変だよ。うーん、江戸の様子を再現した、現代のテーマパークとか?」
「じゃあ、ぴちぴちで近未来ちっくな服着たエイリアンが歩いてたら?」
「もはや意味不明だけど……うーん、昔の街並みを再現した未来都市・EDO! とか?」
「グレイト! ようは町を歩く人を変えるだけで、違う町に出来るのだ」

 町の雰囲気は、マップチップだけでは表現できません。ましてや一から全てのマップチップを作るならいざ知らず、ツクールなどで既成のチップを組み合わせて作る場合、下手な作り方をすると全く差別化出来なくなってしまいます。
 ここで、町の人がいたらどうでしょう?
「さすが、天下のお江戸は人が多いでござるな」という人物がいる場合と、「いやー、昔の地球にはこんな街があったんだねぇ」という人物がいる場合……これだけで、全く違う町を表現している事がわかるでしょうか?
 つまり、町の人は無理に情報を提供する必要はないのです。その町の特徴、その町の置かれている状況、あるいはその町の人達の立場など、特徴・雰囲気を伝えるために町の人を作るのです。

「それが分かるだけで、町の人は格段に作りやすくなる」
「うーん……もうちょっと具体的に教えて!」
「うむ。いくつか挙げてみよう」

1)その町の特徴に連動させる
 一つのやり方としては、町に特徴を持たせ、その特徴に連動させる作り方があります。町に全く何の特徴もないと町の人は作りにくくなります。とは言っても、奇抜な町を作る必要はありません。町の中央にマーケットがある、大聖堂があるといった物から、町の中央を高架街道が通っていたり、戦争の名残で壁が残っていたりと言う物もよいでしょう。特別な種族の町(エルフの村とか)というのも大きな特徴になります。この場合、町の構造だけでなく風俗や文化・風習にまで踏み込んでみるとより面白い町を作れます。
 ためしに、高架街道が走っている場合(『-新説-UPRISING』の街道都市)を例にあげましょう。


 ゲームを遊んでくださった方は、この街道の上が人で埋め尽くされたシーンは印象に残っているのではないでしょうか? あれらは基本的に、「高架街道」という特徴に連動して作られた町の人です。

「町の特徴に連動させるのもいくつかやり方がある。紹介しよう」

 a)その特徴を全く知らない人
 他の町の人や旅人です。プレイヤーも初めてその町に来る時はその特徴を知りませんから、共感するという意味でもよいでしょう。大きな特徴のある町では特に重宝します。
例:「うわ〜! これが高架街道か!」「大きい道ね〜」「こんな街道、作るのは大変だったろうな」など

「これが噂の街道か! みたいな、すこしわざとらしい感じでもいいかも。少なくとも町娘あたりが『これがこの町の名物の高架街道です』なんて説明するより、よほどいいと思う」
「たとえば、こういうセリフで何人か作っちゃってもいいの?」
「いいんじゃない? 俺はよく作るよ。男と女二人並べて――」

女「これが噂の高架街道ね! 素敵!」
男「ここに赤いじゅうたんを敷いたら、ロマンチックなバージンロードになるね」
女「やーん、ダーリンたら!」

「って、こんな風に作っちゃう。これで町の人二人完成」
てっきと〜ねぇ……」

 b)その特徴をよく知る人
 町の住人やよくやってくる旅人(隊商など)は、その特徴をよく知っているため、ことさら驚いたりはしません。その代わり、町の自慢をしたり、昔との比較をしたりするとよいでしょう。
例:「見ろ! これがこの町自慢の高架街道だぜ!」「これが出来る前は、下道を使わなきゃいけなくて不便だったんだよなぁ」「この街道を見ると、この町に着いたって気になるよ」など

「さらにいろいろ作る場合は、キャラクターの立場を意識してみるといいだろう。街道に肯定的な人と否定的な人、新しい物好きな人と昔を懐かしむ人など、立場が違うとセリフは変わる。この辺は、あとで詳しく話そう」
肯定的な人「この街道が出来たおかげで、この町はますます発展するぜ!」
否定的な人「この街道が出来てから、俺の家は日当たりが悪くなってな……」
新しい物好き「こんな街道作るなんて、さすが町長さんだ!」
昔を懐かしむ「せわしなくていけないよ……昔の方が、落ち着いてたな」

 c)その特徴をさらに表現する人
 その町の特徴をさらに強く表現するための人です。その施設を利用する人、恩恵(不利益)を受けている人など。神殿なら神官や修道士が大勢いるでしょう、そのような人達です。高架街道の例でいえば、街道を利用する人、たとえば隊商などを出してみます。このような町の人は、存在そのものが雰囲気を出すための物ですので、強いて意味のある事を言う必要はありません。
例:馬車を中心に、周囲に3,4人の人を配置
「よし、みんな! 次の町に向かって出発だ!」「今回も、いい品を仕入れる事が出来たね」「この町は、いい馬がそろっているから旅も楽だよ」「あーあ、あの店のカレー、次来る時までお預けか」

「ほら、簡単に4人も作れた。俺だったら、さらに遊んで、「あーあ、あの店のカレー、次来る時までお預けか」「なんだ兄ちゃん、まだカレー食ってないのか? この町のカレーは絶品なんだぜ!」とか、本当にただの雑談を作ったりもする。さらに悪ノリすると本当にカレー屋を作る」
遊び心が大事なのね」

2)その町の雰囲気を表現する
 前項が「町の特徴」、つまり建造物や構造に軸足を置いていたとすれば、こちらは「町の状況」に注目します。たとえば、「盗賊に襲われている町」「干ばつが続いている町」など。「神殿があって信者が集まっている町⇒戦争が続いて、祈りのために大勢人が集まっている」など、「町の特徴」と絡めるのも面白いでしょう。

「大事なのは想像をたくましくすることだ。盗賊に襲われている町があったら、どんなふうになると思う?」
「うーん、また襲われないように町を守るよね」
「そうすると、どうなる? 町の人は普通に歩いてて、『いい天気だな、はは〜ん』なんて言ってると思うか?」
「ううん……きっと、『盗賊におびえる人』がいたり、『盗賊に怒ってる人』がいたり……あと、自警団とか兵士が見回りしたり、町の出入り口を警備してたりするかも」
「素晴らしい! その調子だ。そういう人を思いつく限り作ってみよう。あっという間に10人でも20人でも作れてしまうだろう」

例:「盗賊の奴ら……許せない!」「また、盗賊が来るんだろうか……あぁ、うちの財産が狙われたら!」「ママがお外で遊んじゃダメって言うの。盗賊が来るんだって」「君! 用が無いなら家にいたまえ! 盗賊が来るかもしれないんだぞ!」「盗賊が何人来たって、この俺が退治してやるぜ!」「待て! 旅人か? 身分証を見せろ!(町の入り口で)」など

「このぐらいにしておこうか。これに町の特徴を組み合わせて、『盗賊は、この町特産の薬草を狙ってるんだ』みたいなセリフもいいな。これはちょっと説明くさすぎるけど」
「案外、ほいほい出てくるものね」
「そうだろう。難しく考えるからいけないんだ。ノリと勢いが大事。あと、『町の状況』に注目するやり方はもうひとつ、とても重要な使い方がある。それは『町の状況の変化を伝える』という使い方だ」
「町の状況の変化?」
「そう。たとえば、盗賊に襲われる町で、主人公が盗賊を退治したとしよう。すると、どうなる? さぁ、想像をたくましく!」
「えーっと、盗賊がいなくなるんだから、みんな安心する?」
「他には!? それだけか!?」
「喜んだり、前向きになったり、元気になったり!」
「そう! それを表現するにはどうするか? 一番効果的なのは状況に応じて町の人のセリフを変えることだ。さっきの例をこんな風に変えてみよう」

例:「やったー! 盗賊どもめ、悪い事をするからだ!」「これでもう、盗賊におびえなくてもいいんだ!」「お外で遊んでもいいんだって! わーい!」「これからも、町の平和は私たちが護る!」「ちぇっ、俺の腕を見せそこねたぜ」「おぉ、君は盗賊を退治してくれた……ありがとう、さぁ、入りたまえ!(町の入り口で)」

「台詞を変える事で、町の状況が変わった事を伝えられる。ついでに、町のチップを変えたりBGMを変えたりしてもいいだろう。雰囲気が変化した事を伝えるのが大事なのだ」

3)そのキャラクターの立場を表現する
 3つ目は、前の二つと少し違います。町の特徴ではなく、その町の人が属する集団の特徴を表現します。これが脇役、準主役であれば、キャラクター一人一人に名前をつけ、性格や生い立ちを設定するのもよいでしょう。しかし、端役である町の人に一人一人設定するのは大変ですし、端役の役目をこえ、目立ち過ぎてしまう恐れもあります(もちろん、町の人一人一人に名前や性格を設定して、とても上手く表現している作品も多くあります。特に拠点などで同じ町を長く使う場合は有効です)。
 では、一人一人に設定を作らないとしたらどうするか? それがその町の人が属する集団の特徴を表現する、と言う事です。

「たとえば、兵士がいたとしよう。この兵士がどんな兵士の集団に属しているのか……と考えてみる」
「兵士の集団っていうと……王国の兵隊、とか?」
「それでもいい。が、もう一歩踏み込もう。たとえば、自分の国の町を守る王国の兵士なら、町の人には友好的だろう。だが、敵国を占領している王国の兵士なら、反乱を恐れて緊張しているかもしれない。あるいは、占領地の人々に対して、偉そうにふるまう兵士かもしれない」
「あ……たしかに、兵士の集団の特徴を考えると、その兵士がどんな立場にあるのか分かってくるね」
「そうだ。あとは、その立場に沿ってセリフを考えればいい


自国の兵士:「町の安全は任せておけ」「町を守るために訓練中であります!」「よく、町の人にお礼を言われるんです。なんだか、照れちゃうな……」
敵国の兵士:「いつ反乱が起きるか分からない。気をつけるんだぞ」「うぅ……町の人たちの視線が怖い……」「聞いたか? 昨日の夜、うちの兵が襲われたそうだ」
占領中の兵士:「この町は我らの物! 何をしようと自由だ、わーはっは!」「へへへ、占領地にいる間に、たっぷり貯め込んでおかないとな」「あぁん、なんだお前は! 俺たちに歯向かうと、痛い目を見るぞ!」

「他の集団と関わっても面白そうね。たとえば、町の自警団と兵士の人達が喧嘩している、とか」

「ちぇっ、兵士の奴ら、いざとなるとすぐ逃げやがる……」
「町の人たちが自警団なんて作っちゃったよ。そんなに信頼されてないのかな」

「面白い、その調子だ。色々な立場の人間が関わっていると、それだけで物語が出来たりもする。うまく本筋のお話と絡めることが出来れば、生き生きと町の人の姿を描けるだろう。それから、立場を使った高等テクを紹介しよう」

例:占領地の兵士
1.「皇帝陛下万歳!」「へへへ、今の皇帝になってから好き放題できるぜ」「何をやろうと自由だ! まったく、うちの陛下は素晴らしいぜ!」「陛下に忠誠を誓って正解だったぜ!」「これからも、皇帝陛下の下で好き放題やってやるぜ!」

2.「皇帝陛下万歳!」「へへへ、今の皇帝になってから好き放題できるぜ」「何をやろうと自由だ! まったく、うちの陛下は素晴らしいぜ!」「陛下に忠誠を誓って正解だったぜ!」「今の皇帝になってから、侵略ばかりだ……こんなの、おかしいよ」

「さて、上の二つの例を見比べてみよう。どこが違う?」
「最後の一つだけ、台詞が違うね。立場は、全然逆みたい……」
「そうだろう。そうすると、受ける印象はどう変わる?」
「うーんと、1の方は兵士の人がみんな皇帝を素晴らしいって言ってる。みんな、皇帝に忠誠を誓ってるみたい」
「じゃあ、2は?」
「兵士の人の多くは皇帝に忠誠を誓ってるけど、中には皇帝に疑問を持っている人もいる……って感じ。うん、『皇帝がその国を完全に掌握してる』か『皇帝の支配に疑問を持つ人がいる』か、違いがあるね」
「エクセレント! その通りだ、フィリス。町の人の描き方一つで、『その国がどうなっているか』『皇帝がどういう人物か』を表現できてしまうのだ。これを『皇帝は無慈悲な人だ』みたいな単なる情報提供・説明のセリフにしてしまうともったいない」

4)説明をする人
「無理に情報を提供する必要はない、と最初に言ったが、やはり説明をする人は必要だ。が、これは最低限にとどめるようにしたい。いくつかパターンがある」

 a)ゲームのチュートリアル
 ゲーム内の操作方法や戦闘方法、注意点を説明します。このタイプの町の人は、最初の町で出してしまいましょう。これはいわば“お約束”で、後の町に登場することは通常させません(新規のルール追加などがあった場合は、登場する場合もあります)。

「これも、ただ単に説明するだけじゃなくて、ちょっとひねったセリフにすると面白いと思う」

例:素早さが戦闘での行動順序に影響する、という説明
「メイドの仕事は戦場と同じ! 敏捷性が高いほど、素早く行動する事が出来るの! 他の人の倍以上早ければ、1ターンで2回動く事も不可能じゃないわ!」(忙しく走り回っているメイドに説明させる)

 b)ゲーム内情報の提供
 「ここは○○の町です」、「王妃様は病気で寝込んでいる」など、ゲーム内の情報を提供・説明します。一番多く作るタイプでしょう。これもセリフにこだわって、ただの説明に終始しない工夫が欲しいところです。

例:「ここは○○の港町……だけど、船に乗りに来たなら、タイミングが悪かったね」
「王妃様は、もうずっと御病気で寝込んでらっしゃるの。王様も心配でしょうね……」

 コツとしては、何か一言情報提示に関わらないセリフを入れたり、複数の情報を入れる・伏線を交えるという事をすると、多少説明くさい雰囲気が消えるように思えます。
 また注意として、町の人に話しかけずに通過するプレイヤーも中には(けっこう?)います。その場合、複数の人物に話させることで情報の見落としを防がせるのも一つの方法です。ですが、物語の進行に関わるような重要な情報は町の人に話させず、イベントでプレイヤーに提示するほうがよいでしょう。

「なるほど、情報提供の人も必要なのね」
「とはいえ、ただの情報提供じゃなくて、多少なりともひねってやるのがいいと思う。ただの説明セリフになっちゃうのは避けたいところだな。最後に、NGセリフをいくつか紹介しよう」

NG1.内輪ネタ
 あまりやらないと思いますが、内輪のネタをやるのは避けましょう。作っている人は面白くとも、プレイヤーには面白さが伝わりません。

NG2.完全に意味のないセリフ
冒頭のセリフではありませんが……「こんにちは」としか言わないキャラなどは作らない方がよいでしょう。人が多くても「事実上空っぽ」のイベントが多いと、プレイヤーは町の人と話さないでさっさと先に進んでしまうようになります。

NG3.話しかけても反応しない町の人
 これもあまりやらないと思いますが……何のイベントも設定しない空イベントはやめましょう。何人か話しかけて空イベントばかりだと、確実に手抜きと思われます。
 ただし、例外があります。他の人に阻まれて話しかける事ができない位置にいる人(たとえば、人の列があって、その一番後ろの人にだけ話しかけられる場合、列の前にいる人には話しかけられません)は、空イベントのままでも大丈夫です。私も、わりとこの方法で人の数を水増しします。ただ、やりすぎは禁物です。

「あとノウハウといえば……町の人の動きに変化を加えるのも面白いかもな。その場から動かない人、ランダムに動く人、決まったコースを往復する人、など。特に、ランダム移動ばかりだと面白くないから、時々決まったコースの人を入れるのは変化があっていいかもしれない」
「うん、わかった! さっそく作ってみるよ!」

後日談
「うえーん! やっぱり作れないよー!」
「まぁ、最初はそんなもんだ。いろいろ悩んでひねり出せ。そのうち自然に出てくるようになる」


今日のまとめ

1)町の人は端役。その町の雰囲気や状況を伝えるために必要な存在。
2)その町の特徴に連動させるのが一つの作り方。
3)その町の状況に連動させるのも手。状況が変わればセリフも変わる。
4)立場が変わればセリフは変わる。
5)神は細部に宿る。ノリと勢いと想像力を動員して、生き生きした町の人を作ろう。



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